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澁澤 健太郎 教授

総合政策ゼミナール

   
 澁澤ゼミ@平成29年度東洋大学優秀教育活動賞授賞式  2017年度海外研修@シンガポール
~IBMにて澁澤先生の顔写真からAIが職種を分析しているシーン~

アクティブラーニングによる講義外学習の活用

ゼミナール教育を考える

講義外時間の活用

大学では1講義について、年に30回と講義回数が決められており、時間数に直すと1単位45時間と膨大な時間が用意されています(全ての大学ではありません)。しかしながら諸事情による休講、講義内での小テストや出席などによってこの時間は実際には大幅に短縮されていると思われます。さらに学習意欲の喪失、学力の低下については多くの識者の指摘が示されているところです。予習や復習、つまりは講義外時間の活用とアクティブラーニング導入によりこれらの課題についていくつかの点で有効性を示したいと思います。

通常の大講義では、履修者数が多く個別の対応やアクティブラーニング導入は必ずしも効果を発揮することが難しく、情報環境の整備や教員のICT活用能力(※1)の有無によっても差が生じます。その点、ゼミナールは少人数であり個々の対応が可能、またアクティブラーニング導入も比較的容易と考えられます。 私のゼミでは、まず講義外時間をどのように組み込み学生が自ら意欲を持ち、教育効果を生じさせることができるのかについて取り組んできました。

※1)ICTとは、情報通信技術(Information and Communication Technology)の略。

どうやって学習意欲を持たせるのか?

為替全国大会参加

文系ゼミのスタンダードとして、本の輪読と発表という形式があげられます。最近では各チームの発表はPCを使ってのプレゼン方式が多くなっているように思います。しかし発表方法がデジタル化しても知識量や経験値がより多くなるというわけではなく、むしろ綺麗に見えるような工夫をすることに時間が割かれることもあります。さらにこの形式で特に能動型教育が加速されるということもありません。

私のゼミでは、まず「為替」をテーマに取り入れています。4月から始まるゼミでは各チームにわけて為替の将来的(短期から中期まで)予測を行います。なぜ「為替」か?といえばもちろん経済と深い関係にあることは当然ですが、毎日変動することや海外の事象に注意を払う必要があるということが重要です。また学生は必ずしも為替について専門的な知識があるわけではないので、ゼミ時間外にお昼休みの時間など使って勉強会を開催しています(講義外学習の事例1)。これは教員によるプレゼンテーションと質疑応答が組み入れているので、学生は事前学習が必須となります。

重要な点の2番目は、ゼミ内での完結にしないことです。その為に2010年度から日本経済新聞社が主催する為替予想学生全国大会(円ダービー)にゼミでエントリーしています。ゼミ内討論で終わらせず大会では約450チームが約2か月間にわたって為替予想(対ドル円)を実施します。澁澤ゼミは、昨年度総合全国第5位で入賞し日本経済新聞に掲載されています(最高位は全国2位)。こうした事実に基づいて学生のゼミでのモチベーションは非常に高くなっています。

国際的な視野

視野の拡大

澁澤ゼミでは、2003年度からゼミ単位で海外研修を毎年実施しています。現在、経済学部内で毎年ゼミ単位での海外研修を実施しているのは私のゼミのみとなっています。参加学生は平均31名とゼミに所属する学生のほとんどが参加しています。2018年度はエストニア共和国を訪問しました。海外の先進的企業を訪問し、レクチャーを受けて質疑を行います。他大学の学生とコミュニケーションの機会を設けることもあり、学生は貴重な経験を有します。近年ではインターネットで情報を得ることが一般的であり、わざわざリスクをかけて訪問することに意味があるのかという疑問も生じるかもしれません。しかし現場で得ることができる体験は、何事にも代えることができません。たとえば企業でレクチャーを受けた後に、街中でピザ宅配ロボットの走行を見た学生は歓声をあげていました。こうした体験は日本では得ることが叶いません(エストニア共和国:タリン市内)。

また海外研修については事前勉強を繰り返しています。先方企業へ質問を送り、Web上で議論を事前に行っています。事後的にはアマゾンで海外研修報告書を出版しています(資料1参照)。研修報告書は10万字を超える大作(笑)であり、昨年度は教育部門で第1位を記録しています。出版にあたり原稿作成や編集などに膨大な時間が、かかっています(講義外学習の事例2)。

資料1|amazonのキンドルストアでの電子出版
澁澤ゼミ(2018)『澁澤ゼミ海外研修報告書(2018)』,<https://www.amazon.co.jp/dp/B07J27CNPM/ref=cm_sw_r_em_api_i_wVJACbJHRK62E>, 2019年2月18日アクセス.

最後に

上述してきた講義時間外の利用ですが、これらの複数プログラムは通常のゼミナールで行っているプレゼンテーション並びにディベートとリンクされています。例えば、電子居住権について調査し発表することがその後に訪問する国の制度と関連づけられています。3年のゼミで実施している企業のポートフォリオ(企業分析)は為替と関連しています。本学で行われた男女共学100周年記念事業学生企画成果報告会などでもこうしたゼミの力は如何なく発揮されています(資料2参照)。

資料2|東洋大学男女共学100周年記念事業学生企画成果報告会

アクティブラーニング導入はシステムを導入し、利用を呼び掛けても成果を得ることは期待できません。学生(教員)自ら能動型に参加するプログラムが用意され、また成果が検証できることが重要です。時にそれは就職活動に生かされていることは、卒業生が1年に2-3回程度、ゼミ内キャリアセミナーでしばしば後輩へ直接伝えています。余談ですが、ゼミのWebサイト(ドメインはゼミ名で取得<http://shibuzemi.com/>)やツイッター、ネットラジオなどでゼミ学生は主体的に情報を公開しています。

教員は時間外学習に負担を伴うことへ抵抗がありますが、教育者は負担を理由にせず時間を惜しまない姿勢が望まれるのはないでしょうか。

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・東洋大学経済学部総合政策学科ホームページにおいても紹介されています。
総合政策学科、澁澤健太郎教授が平成29年度東洋大学優秀教育活動賞受賞!