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石井 由香理 助教

社会学基礎演習B

学生が英語でプレゼンテーションを行っている様子

 

独創的なアイディアを国際的に発信する力を培うために 

この度の賞をいただくきっかけになったのは、学生たちの報告スライドだった。熱意をもって育てたという自負と一言褒めていただきたいという下心で、会議の前に私が隣に座っていた社会学科の先生にお見せした。少しだけ目を見開かれたあとに、目の前にあった新しい賞のプリントをみながら、「ちょうどいい、推薦しましょうか」と言っていただき今度は私が驚いたという記憶がある。

当該報告スライドは、基礎演習を受講していた社会学部社会学科イブニングコース1年生たちが作成したものである。基礎演習は、春秋学期の半期授業ではあるが、再履修者でなければ、通年必修の履修である。社会学部イブニングコースのディプロマ・ポリシーにある「社会問題や社会現象について、調査、発表、討論する力」を総合的に培い、かつ、グローバル化時代に求められる英語での発信力を養う授業内容を目指した。

私は、大学での学びの出発点は、独創的なアイディアを聴衆に合わせてアウトプットする力を養うことであると考えている。そこから逆算すれば、独創的なアイディアを生み出すためには、正確な情報をインプットする力が必要になり、さらにそのために、アカデミックな文献を読解する力、社会学的な知識の土台作りが重要なことがわかる。また、アウトプットのために、レジュメの作成方法、日本語あるいは英語によるプレゼンテーションの方法、グループワークと個人で、自ら問題を発見し問いを深めていく能力などを受講生たちは伸ばすことができるように授業を設計した。

また、グループ学習と個別学習を併用し、学生たちが自らの問いを深めながら、自主的に学習をしていくような工夫をした。具体的には、学生たちを4人前後のグループに分け、前期に行ったメンバーの個人研究のなかから1~2つを選び、それをグループ学習で深めてプレゼンをさせるように促した。ちなみに、翌年度は、前年度の優秀な報告スライドを見せることで高い効果があった。前年度できたのならば、自分たちもできるという自信と、ちょっとした競争意識を持ってもらえる。個人研究のレポートについても、自分たちで課題を決めさせ、毎週できたところまで持ってこさせ、教員が一人一人の能力を見極めたうえで、それぞれにアドバイスをした。

イブニングコースの学生たちは、社会人として人生経験を積んでいたり、家庭環境や病い・障がいなどと関連して、何らかのマイノリティ性を有する学生たちが多く、社会学的な問題意識とリンクしやすい人たちである。そうした学生たちの貴重な経験を、アカデミックなかたちで昇華させ、自由に自主的に学ぶことができる環境づくりに、今後も貢献していきたい。