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井ノ口 繭 助教

卒業研究(生命)

   
学生が実験に取り組む様子 学会発表に向けた研究指導の様子

 平成29年度東洋大学優秀教育活動賞に選出していただき、誠にありがとうございました。生命科学部生命科学科の「卒業研究(生命)」について紹介いたしますと共に、個人的にどのような工夫を行ってきたかを書いていきたいと思います。

1. 卒業研究(生命):大学4年間の集大成

 本授業は、学生が教員の指導のもと各研究テーマに沿った実験および研究を計画的に行うことを目的としています。また、生命科学科の卒業の認定及び学位授与に関する方針である「生命科学の専門的知識と実験技術を駆使して、創造的な研究活動を行う能力を身につけている」を実現する授業です。

 生命科学科では、1年生から3年生まで、各講義や実験実習を通して、生命科学に関する知識・考え方・技術を学びます。授業で行う実験は、失敗しないように教員が念入りに準備したものであり、ほとんどの場合、考察しやすい明確な結果を得ることができます。

 一方で、卒業研究の大部分は未知の生命科学現象を探っていくことを目的としており、どんな結果が出るのか、それどころかうまく実験が進むのかどうかも手探りの状態となります。そのような答えが保障されていない問いに対して、自分で計画を立て、成功や失敗を繰り返していくことで、生命科学科の4年生は実験技術だけではなく、問題解決に向けて考える力を身に付けていきます。

2. 魚類の浸透圧調節研究:面白いと思い続けられるように

 私の指導する卒業研究(生命)では、「魚類における浸透圧調節機構解明」に関連する研究を卒業研究テーマとして、学生達が日常的に実験を行います。もう少しわかりやすく言うと、「魚がどうして海でも川でも生きられるのか」その体の仕組みを調べています。これは社会的利益に直結するテーマではなく、研究に取り組み続けるためにはその分野に対する強い興味を持つことが重要になります。

 「研究って面白い」と思い続けられるように、一人一人に独立したテーマを与え、頑張った分だけ自分の成果になるという環境を心がけています。また、自分の研究の意義や影響力を実感し、次の実験のモチベーションに繋げて行けるように、学会やシンポジウムへの参加を促しています。

 そして、実験がどうしてもうまくいかない時、研究テーマが面白いと思えなくなった時に、他の研究テーマというオプションを用意しています。うまくいかない実験を鬱々と続けなくていいと思えること、これは意外と重要だと私は考えています。卒業研究では良くも悪くも学生と教員が共に長くて密な時間を過ごすことになるので、持続可能な人間関係を保ちながら持続的に研究を進めていくことを重視しています。