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田中祐輔講師著『現代中国の日本語教育史』が大平正芳記念賞特別賞を受賞しました

田中祐輔講師著『現代中国の日本語教育史』が大平正芳記念賞特別賞を受賞

 東洋大学国際教育センター田中祐輔講師が執筆した『現代中国の日本語教育史』が大平正芳記念賞特別賞を受賞。2016年6月10日に如水会館にて授賞式が行われました。大平正芳記念賞は「環太平洋連帯構想」の発展に貢献する政治・経済・文化・科学技術に関する優れた著書に贈られる賞で、1985年にスタートし、今年で第32回を数えます。なかでも特別賞は、文献的、百科事典的、啓蒙的著作などの環太平洋連帯構想の普及に貢献した著書に贈られます。

2016年6月10日授賞式(於・如水館)

受賞にあたり、田中講師にお話を伺いました。

受賞にあたって現在どのようなお気持ちですか。

 21世紀は「アジアの時代」「太平洋の世紀」とされますが、世界情勢の安定と連携強化を促す極めて重要なビジョンとして故大平正芳総理が提唱された環太平洋連帯構想の意義は今日ますます高まっているものと考えられます。また、故大平正芳元総理は、日本と中国との交流と親善、日本語教育の発展の礎を築かれた宰相でもあり、その御尊名を冠した賞を賜る運びとなりましたことは身にあまる光栄です。

・受賞した著書について

 本書は戦後70年にわたる日本語教育を通じた日本と中国との交流の歴史に光を当てるものです。2013年に提出した博士論文を基にしていますが、書籍化にあたって2年間の追調査と加筆を行いました。本文には、1960年代から現在までの日本語教科書51冊の分析結果や、国際事業担当者・教師・学習者等60名へのインタビューデータ、公文書・機関所蔵資料・学術的文献・記事・書籍・写真・日記・教師会会報といったドキュメントデータなど、約500点の分析対象を最大限掲載させていただきました。こうした十分な調査と分析が可能となった背景には、東洋大学における日本語教育の実践環境や学生との対話、そして、学内研究助成や井上円了記念刊行助成、日本学術振興会科学研究費などの研究助成があります。今回の受賞は、本学の教育・研究環境や学内外からの手厚いご支援の賜物です。

・今後の抱負

 研究の遂行に際しては、教育文化交流史を築かれてこられた当事者の皆様から多くのご教示をいただき、また、多数の研究機関や大学、資料館の方々のご協力、様々な分野の先生方からのご鞭撻をいただきました。以上から、本賞は私個人ではなく、ご協力くださり応援してくださった皆様と共に頂いたものであると考えます。そのご厚情に深謝すると共に、貴重な機会をいただいた責任を強く自覚いたしまして、今後も日本語教育を通した国際化と文化交流、そしてそれらを実現するための教育実践や教授法、教材開発をテーマに、教育と研究に誠心誠意取り組みたいと考えています。

 

先生ご自身も幼少期に中国大連で育ち、博士後期課程在籍中にも日本語教師として上海復旦大学で教壇に立つというグローバルな経験をお持ちですが、そうしたご経験とこの度のご研究の見地から、学生にメッセージをお願いします。

・他者との相互理解から形作られる世界と歴史

 本書がテーマとして掲げた中国における日本語教育の歴史は、中国という国が、日本という隣国を理解し、共に対話を重ねたプロセスそのものでもあります。現代中国において、日本語教育がどのような役割を果たしてきたか、また、その歩みの中で人々の間にどのような交流や努力があったかを追う中で、「他者のことば」への理解というものが交流と親善、相互理解に必要不可欠であることを改めて実感しました。また、そうした一人一人の理解が積み重なることで世界は形作られ、歴史が生まれていくものであると感じます。

・学生たちへのメッセージ

 東洋大学は2014年9月に「TOYO GLOBAL DIAMONDS構想」が文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援に採択され、グローバル教育が展開されています。学生の皆さんが日々学ぶ専門分野への深い知見に加え、英語をはじめとする諸言語の学習と習得は、みなさんが世界の舞台において出会った人々と協力し未来を切り拓くための土台となるものと考えられます。

 是非、東洋大学の語学教育や異文化交流などをはじめとする充実したプログラムを活用して、新しい未来の構築を実現するグローバル人財としての力を育み、世界に雄飛してもらえたらと思います。

 東洋大学国際教育センター田中講師

大平正芳記念財団ウェブサイト:http://www.ohira.org/