授業の改善を目指して
スタートした研究
「授業をしていると、集中できていない学生や内容を理解できていない学生がいることに気付きます。より良い授業につなげるためには、その場でアンケートをとって理由を明らかにすればいいのではないか?そう思ったことが、今回の研究を始めたきっかけです」
そう語るのは、総合情報学部の安達由洋教授。現在、自然言語処理技術を用いて、自由記述のアンケート回答文を超高速に分析する技術の開発に取り組んでいる。普段、人間が使っている言語をコンピュータに処理させるには、高度な技術が必要とされる。そのために開発されたのが、文章を品詞ごとに細かく分割し、それぞれの単語を判別させる形態素解析という技術だ。また、個々の単語に、それぞれが持つ意味合いを数値化したベクトルを与えて計算処理を可能にする意味分散表現と呼ばれる技術も進歩している。安達教授はそれらに独自の技術を導入することで、アンケート回答文に含まれた意見を瞬時に分析し可視化することを目指しているのだ。
「単語の特徴を表す高次元のベクトルを基に、文章を分類・検索すると処理速度は遅くなりますが、それを低次元のベクトルに意味分散表現する手法を用いれば、高速な処理が可能です。それにより、例えば“洋服”という単語が文章に含まれていなくても、“洋服”に関する記述を分類・検索できるようになりました。また、10,000もの自由記述文をわずか1秒以内に分類する処理速度を実現しています」