三、哲学部の実用主義――哲学部の目的はもっぱら宗教家の養成にあり、仏教の基礎を三年で教育し、さらに専門外の倫理・心理・法制などを教授して広い知識と視野を身につけさせてきたが、今後は英語や中国語(漢学)を重点的に教えるという実用主義をとる。四、国際化の対応――これまで教育家と宗教家の育成に重点をおいてきたが、時代の変化に応じて、さまざまな人材を養成することとし、とくに国際化に対応した教育をする。今後、日本人が活躍するところはアメリカ、中国、朝鮮なので、英語と中国語を中心に語学教育をする。そのために随意科をおく。五、記念堂としての「哲学堂」の建立――大学開設用の敷地に、基本金が集まりしだい着手する。大学開設の記念堂を建立して、これを四聖堂と称して、古今東西の哲学者を記念する。また、哲学館事件で資格を取り消された卒業生・在校生八三名の氏名を記した記念碑を建立する。六、哲学応用の奨励――哲学館の方針は、理論の研究だけではなく、哲学を社会全般に応用することを奨励してきた。卒業生は、直接的には教育・宗教に、間接的には法律家・工業家などに従事して、この成果は十分にあがっているが、大学開設後はさらにこれに重第三章 「哲学館事件」97
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