ショートヒストリー東洋大学
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「純然たる私立学校」ば、もっと早く通知すべきであろうと述べた。第二は、処分の対象が受験者以外の、しかもまだ中島の授業を受けていない学生にまでおよんだことである。哲学館自体の特典が剥奪されたことも不合理であり、館主として著書や全国講演などで自ら教育勅語の普及につとめ、学校では実際的倫理の授業を担当してきたのに、なぜこのような事件に巻き込まれたのか、その疑問を改めて語った。第三は、四月の文部省への嘆願書は処分された学生のためであったが、文部省がこれに対してなんらの対応も示さずにいることをあげて、今後教員免許の特典がふたたび与えられることになっても、今回不合格になった学生についての問題が解決されない限り、「学館の義理」として特典を受けることはできず、文部省からの申し出を「徹頭徹尾お断りする」と、その方針を明らかにした。円了は、帰国前の五月三〇日に、第一三回卒業式へ「告辞」を送り、今後の哲学館の方針を「独立自活の精神をもって純然たる私立学校を開設する」こととして明らかにした。第三章 「哲学館事件」95   

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