ショートヒストリー東洋大学
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事件の真相云々。余これを聞き国字をもって所感を綴る。今朝の雪畑を荒らすと思ふなよ苦にするな暴あしの後に日和あり火に焼かれ風にたをされ又人に伐ればなほ太く生ひ立つ桐林ロンドンで事件の発生を知った円了は、同地に滞在していた文部省普通学務局長の沢柳政太郎に相談した。沢柳は大学時代の後輩で、欧州とアメリカで教育関係の調査中であった。沢柳の意見はこうであった。文部省の処置の当不当は差しおき、ひとたび省議となって発表した以上は、省の威信を保つために取り消しはもちろん、即時に認可を与えることはできないだろう。しかし、謹慎の態度をとって一時を経過したのちには、ふたたび認可を願い出ることもできるだろう。伐きられてもなほ枯れぬ若桐生ひ立つ麦の根固めとなるら   第三章 「哲学館事件」87

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