ショートヒストリー東洋大学
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文部省による処分をしていたという。文部省による処分は『官報』で告示され、事件の発端となった学科だけではなく、すでに認定を終えた学科まで含んだ、哲学館の無試験検定校の認可をすべて取り消すというものであった。このため、哲学館の幹事が文部省に出向きその理由を問いただしたが、その答えはつぎのようなものであった。「処分の原因は倫理科教授にあって、設備などの問題ではない」「教科書には国体上不都合な内容が含まれていて、もし卒業生がそれを中等学校や師範学校で教えるとすれば容易ならざることである」「教師が不都合な考えを持っている」。したがって、このような教師を使っている哲学館の意味は重い。本来ならば学校の閉鎖を命じるところであるが、哲学館の内情も察して、認可取り消しで済ませることになったというものであった。一二月一八日、文部省からの処分が、哲学館に下された。76    

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