ショートヒストリー東洋大学
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勝海舟の「筆奉公」した巡講によって得られた全国各地の実情と見聞をもとに、これに古今東西の文献による考察を加えて完成されたものであった。一八九六(明治二九)年一月、井上円了は哲学館の機関誌『東洋哲学』に、「哲学館東洋大学科ならびに東洋図書館新築費募集広告」を出した。そのために小石川区原町(現在の東洋大学白山校地)の土地を、一八九五(明治二八)年に三三〇〇坪、九六年に四五〇坪、合計三七五〇坪を購入していた。この土地は勝海舟の娘婿・目賀田種太郎夫妻の自宅に隣接し、土地の選定にあたっては夫妻の助言を得ていた。土地購入の費用は九九〇八円で、それまでの寄付金でまかなえた分は半分であり、五三〇五円が不足した。円了は哲学館の寄付金規則を改正して、新築費は五〇〇〇円の予定で五年間で積み立て、維持金は五万円ないし一〇万円を予定し一五年間で積み立て、維持金を資本としてその利子を経費に充当することを計画した。第二章 「日本主義の大学」49   

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