あとがき本書は、創立者の井上円了の誕生から現代の東洋大学までについてまとめた大学史の普及版である。本格的な歴史書としては『東洋大学百年史』があり、これを基礎文献としながら、創立一〇〇周年以降から現代までの歴史を加えた。基礎となった百年史は、一九七九(昭和五四)年から資料収集を始め、一九九五(平成七)年までに全八巻(通史編二巻、資料編四巻、部局史編一巻、年表・索引編一巻)で出版され、全体で約八〇〇〇ページという大著である(その他に『図録田徳子の両氏などを中心に進められた。筆者は後半から編纂組織の運営に関わっただけであるが、長期にわたる編纂が終わったとき、安堵した思いが強かった。しかし、刊行完成直後に教育史の専門家で編集委員をつとめていただいた方から、「この百年史が評価されるのは三年後のことになるでしょう」と言われ、編纂の年月と多額の費用、担当者の苦労を合わせて考えてみて、戸惑いを覚えた。そこで、筆者は読みやすい普及版を作ることを、当時の所長であった新田幸治先生と編纂担当の高木宏夫先生に提案し、センター会議で了承を得た。それから、筆者は改めて東洋大学の歴史を読み直し、関係資料を検討して、執筆する内容はほぼ決まった。しかし、一年経っても、二年経っても、一文字も書けない日々が続いた。問題は筆東洋大学一〇〇年』がある)。一七年間に及ぶ編纂は、山内瑛一・豊 320
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