ショートヒストリー東洋大学
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があっても、新たな試みは生まれなかった。したがって、この制度は、変化の激しい現代社会にあって、大学の個性化を妨げ、多様な人材の育成を不可能にするものとして、社会的な批判を浴びた。このような社会と高等教育のあり方の、大きなズレの問題を論じたのが大学審議会である。大学審議会では、第二次答申で大学教育改善の方向について、こう述べた。各大学において、自らの教育理念・目的に基づき、かつ、学術や社会の要請に適切に対応しつつ、特色あるカリキュラムを編成・実施することが、全体として大学教育を充実させ、社会が求める優れた人材の養成に資することになる。また、このためには、必要に応じ、教育組織の柔軟な設計とその充実が求められる。この答申のように「設置基準の大綱化」がはかられたが、求められる大学改革の焦点は、主につぎの三点にあった。第一は大学の硬直化の問題、第二は大学の閉鎖性の問題、第三は大学設置基準で、画一的な大学の教育研究体制の規制を見直すことになった。この「設置基準の大綱化」によって、それぞれの大学は特色ある教育研究が可能になったが、教育水準を維持するために、その大学が自己点検・自己評価をして、これを大学関278   

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