ショートヒストリー東洋大学
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いる本学は、われわれ仏門に関係ある者といたしましても、これは非常に関係のある大学だと思いまして、おこがましくも理事長を引き受けさせていただいたという経過でございます。この挨拶にあったように、東洋大学と塩川正十郎を結んだのは、一〇〇周年の記念式典で配られた『井上円了の教育理念』という新書本であった。時代は「昭和」から「平成」に移り、一九九〇(平成二)年から、新しい東洋大学への動きははじまった。新理事長の方針はつぎの二つであった。百周年は新しいスタートだから、単なる伝統の延長であってはいけない。そのためには、まず完全な総合大学への脱皮が絶対必要である。これが第一であるが、伝統も非常に大事であり、創立者の井上円了先生の精神を尊重したい。「諸学の基礎は哲学にあり」の考えと、「学ぶ意志のある人に教育の機会を与える」という二つの大方針は不易のものとして守っていかなければならない。そのためには、井上円了先生をこの百周年に見直そうではないかということで、「井上円了記念学術センター」をつくったわけです。これからは百年の伝統を生かしながら、新しい歴史をつくっていく必要第八章 大学改革への出発275  

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