ショートヒストリー東洋大学
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白山再開発このことはまた、建学の精神の個性と重要性を知るほどに、現代において大学と時代・社会との間に、越えられないほどの大きな溝ができてしまったことを、多くの関係者に実感させた。激動する時代のなかで、将来への漠然たる不安はどうしようもなかったが、それを払拭するものとして期待されたのが、白山キャンパスの再開発であった。すでに、全学部を郊外の大規模な統一キャンパスに移転させる方式は破棄された。残されたのは「都市型大学」としての再生であった。それを果たすには五学部が集中する都心の白山校舎の再開発がまず必要で、第二世紀の新しい東洋大学をここからスタートさせることが考えられた。都内の大学は、既存の校舎をすべて立て替えるという大規模な再開発にほとんど未着手であった。一〇〇周年から一年後の一九八八(昭和六三)年九月、すでに実施された「白山再開発」の基本調査をベースに、ある建築家の協力をえて、プロポーザル・コンペ方式で設計者の選定がおこなわれた。270   

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