ショートヒストリー東洋大学
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に機動隊の学内導入を要請した。この機動隊によって、座り込んでいた一七二名の学生が検挙され、理事長がそのまま入院するという事態が発生した。機動隊による大量の学生の検挙は問題を深刻化させた。同日、学生側は、機動隊の導入を学生自治への国家権力による弾圧ととらえ、大学の管理・運営にあたる理事会への批判を強め、約二〇〇〇名が「全学学生総決起大会」を開催して、「官憲導入と不当検挙に対する抗議」と称して全学ストライキの決行を宣言し、夕方から机や椅子でバリケードを築いた。これによって、大学全体が封鎖された。大学側は、学長の告示をもって六月二八・二九日を全学休講として、そのまま夏期休暇に入る措置を講じたが、バリケードによって事務職員も入構できず、大学事務を含む全体が麻痺状態に陥った。三〇日、とりあえず、学生側との話し合いによって、就職・厚生の学生生活に関係する業務のみを再開することになった。七月に入り、バリケードで封鎖を続ける五学部の学生自治会は、理事長に公開質問状を提出して、機動隊導入の責任、図書館・学生会館に関する大衆会見の要求、会見実現までの図書館の着工延期などを求めた。第七章 大学の「大衆化」243    

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