大衆団交と既成事実を積み上げようとはかっている」とし、「当局の非民主的なやりかたに対して抗議する」という声明文を発表して、各学部教授会に対して慎重審議を要望した。夏休みが明けた九月一日、大学は学長と理事長による「本学教養課程(第一部)一部の川越移行について」という文書で、教職員、学生、校友会、父兄会などに川越移行への協力を要請した。大学側は、この文書のなかで、急速に総合大学としての規模を備えた東洋大学が、一方では白山校地の教育環境の問題を抱えている現状に鑑み、かねてから理事者・教職員と学生の間に川越移行の実施の意見があった経過を明らかにして、討議の現状を報告し、「研究教育機関としての本学の社会公共に対する責務」の重要性を述べた。夏休みの明けた学生は、教職員組合による抗議声明と、大学による協力要請という相反する二つの文書から、教養課程の移行計画を知ることになった。そのため、学生を無視した形で進められたと強い不満を抱き、この移行が学則の改定や授業料の増額につながるの第七章 大学の「大衆化」233
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