ショートヒストリー東洋大学
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すことは、少なくとも僕らより、なお責任をもってしかるべきではあるまいか。君に金の心配はかけない。それができなければ、僕らもあきらめる。もし資金面の見通しがついたら、何とか引き受けてください」劒木 「両先生の熱意のほどは十分わかりました。私も前向きに考えますが、今日のところは即答をお許し下さい。一両日中に必ずご返事いたします。文部省当局や私学審議会の先生に相談いたしますから」こう言って、劒木は渋沢邸を去ったが、当日、劒木が訪ねたのは私学審議会の副会長のところであった。この副会長から、短期間に資金募集ができるかどうか疑問だから、新理事長は断固として断るべきだと助言された。こうして、劒木は渋沢に対し電話で就任を断った。渋沢と劒木のやりとりから、新理事長をほぼ引き受けるものと思って帰宅していた竹村は、ふたたび渋沢から連絡を受け、この日のうちに再度劒木に会い、工学部の認可があった場合に理事長を引き受けられるかと質問した。劒木はこれを了承したので、竹村は理事長就任の確約について「一札書いていただいて、文部省に提出し」、こうして理事長問題第六章 廃墟から総合大学へ207    

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