川越市の協力まず一九五八年八月の理事会で「川越市における大学誘致の件」が検討され、一〇月には「川越市における土地購入の件」が具体的に審議され、一一月には川越市名細地区の土地購入が異議なく可決された。一方の川越市も、交通の不便を懸念する東洋大学に対して、伊藤泰吉市長から「東洋大学建設地内の東上線新駅設置については、川越市において責任をもって、東上線に設置させる」という念書を提出するなど、市長が陣頭に立って市議会をまとめ、大学誘致の決議がおこなわれた。そして、川越市名細地区に「東洋大学招致委員会」が結成され、市側の積極的な運動が展開された。この土地は百数十名にもおよぶ生え抜きの地主の所有地であったため、その買収交渉は困難を極めたと言われているが、市会議員や行政関係者が地主の代表者を集めて説得し、また市の財政関係者が一人一人を説得に回り歩いたという。そのような関係者の努力により一一月には、川越市と東洋大学との間で大学設置に関す第六章 廃墟から総合大学へ195
元のページ ../index.html#197