ショートヒストリー東洋大学
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ぞれ半数ずつの役員を出す体制が確立された。獅子吼会による資金援助は、九月から翌年三月まで、一二回にわたり合計で九六〇万円に達した。大学側との役員の定数問題があって、まだ双方が調整しなければならないときもあり、獅子吼会の幹部は資金の提供に慎重な態度を取ったが、給料の遅配している大学の現状を知った大塚は、幹部にこう指示した。大学は人材を養成する最高学府であり、書いた物を取り交わさなくても、いったん約束したことを破るようなものはいないはずである。話は後でつけることにして、とりあえず必要な金は持って行くように。一一月一九日、大学側はそれまでの資金援助に対して、大塚を名誉学長として推戴した。推戴式のとき、大塚は「私は名誉・地位を欲する者ではない。ただ困っている者を助けることが一番好きで、そういう気持ちから東洋大学を援助するのである」と述べている。こうして東洋大学は、財政の危機を乗り越えて、一九五〇年四月に、新たに経済学部一第六章 廃墟から総合大学へ183    

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