同年三月、日本の教育改革の見取り図をGHQ最高司令官のマッカーサーに示すために、第一次の合衆国教育使節団が来日した。この使節団はその報告書のなかで、高等教育の改革について論じた。なかでも、教育専門家たちは、日本における教育の自由の確立の重要さを説いた。さらに教育と宗教の関係の正常化は、日本の私学の位置が認められるか否かにかかっていることを示唆した。国家神道による教育統制を排除することが重要な目標であった。また、自治自由の程度、卒業生の待遇などのあらゆる側面で、国・公・私立大学の間に、これまでのような格差があってはならないと繰り返し強調した。アメリカの大学制度や、イギリスを含めたアングロ・サクソン系諸国の教育実態からみても、戦前の日本の私学は、宗教教育の自由はもちろん、学校運営や教育活動の全般にわたって、行政機関の手で大幅に規制され、教育の自由が侵されていた状態にあったからである。一方、連合国軍は、日本の政治的解放の観点から婦人の参政権を認め、これとともに女子教育の重要性とその水準の向上を勧めた。女子教育を振興することは、私学を重視する第六章 廃墟から総合大学へ171
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