ショートヒストリー東洋大学
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東洋大学の昇格しかし、寄付金の申し込みを待っていては、翌年の昇格には間に合わないので、差し当たり昇格に必要な文部省への供託金の二〇万円を借り入れることとし、維持委員会で決議した。中島学長をはじめとする関係者は、知人のいる銀行へ申し込んだが、銀行からは長期貸し出しはおこなわないと言われた。それから数社の生命保険会社へ交渉したが、全校友の保険加入を交換条件とされるなど、困難を極めた。ようやく、ある保険会社から二〇万円の借り入れが達成された。これに、雑誌社を経営する校友から国庫債券の貸与を受けて、合計二五万円を用意することができた。はじめの銀行との交渉から五か月ほど経過した時期であった。しかし、「大学令」による昇格の条件は、供託金だけではなかった。新たに十分な図書の購入と施設の充実も必要であった。中島学長はこの年の一二月に、新校舎の建設に着手した。第五章 苦難の昇格運動155   

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