日に、収拾案をめぐる食い違いから、境野学長は顧問会の中心である岡田良平に調停謝絶の書面を送り、さらに、事件直後に辞表を提出していた六教授あてに「解職」通知を送付した。この「解職」の撤回を求める学生が、二七日、学生大会の決議文をもって学長に面会した。そのとき、学生らの強い足踏みで床板が抜けて、立てていた本箱が大音響とともに倒れた。これを大学側の策謀と受け取った学生と、窓からのぞいていた学生がともに部屋になだれ込み、騒乱状態となった。そして、学生たちと学長、幹事、付き添いの刑事らが乱闘する事態となり、器物が飛び窓ガラスも割れるまでに混乱した。着衣を引き裂かれた学長は、辞職表明書と陳謝の演説を強要された。講堂の入り口では警官と学生らとの押し問答が起こり、ここでも乱闘となり、そして二〇数名の学生が検挙された。この乱闘騒動から二日後、文部省からの学長認可取り消し命令があった。それは前代未聞の事態であり、同日の維持委員会で学長交代が決定された。そのため、大学昇格寄付金の募集は七月で一時中止となった。第五章 苦難の昇格運動149
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