ショートヒストリー東洋大学
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創立寄付者四月の入学式から二か月後の六月二八日、新たな校名は井上円了が決めた「私立東洋大学」として認可され、哲学館大学は新しい大学へと生まれ変わった。七月四日には、契約に従って、財団法人・私立東洋大学が設立された。こうして大学は井上円了という個人が設立・運営したものから、法人という組織で運営されるものとなった。財団は理事二名、監事一名、商議員一七名の構成で出発した。すでに述べたが、一八八七(明治二〇)年の哲学館の創立は、井上円了の趣旨に賛同した二八〇人の有志から七八〇円余りの寄付金で実現したものであった。その後、円了は有志の寄付から国民的寄付へと転換し、全国各地を巡講して寄付金を募り、それを基にして大学へと発展させた。円了が引退を決意するときまで、どれほどの人々が寄付をしてくれたのであろうか。この寄付者と金額について、円了は機関誌『東洋哲学』などにそのつど発表していたが、その全貌はわからなかった。最近の研究によって、『東洋大学創立寄付者名簿』が刊116    

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