料・授業料)から約一万五五八七円を借り入れして、立て替え支出をするという財政状況で額は約二万二一四二円であった。その内訳は、運営全般の必要経費である資本部の収支に約一万四一五三円の不足金があり、施設関係の新築部のそれは約七九八八円が不足した。これらの不足金に対して、本来は年度内の運用に限定しなければならない月謝部(受験あった。大学の財政の重要な財源としてあげられるのは、寄付金のほかに、学生の受験料、入学金、授業料による収入であるが、哲学館大学の開設の前後には、学生数が減少した。その原因について、円了はつぎの三つをあげている。第一は社会情勢の影響で、日露戦争を背景にした国民は生活全般にわたる経済的な影響を受け、とくに家計の収支への圧迫が進学の機会を一時的に縮小させた。第二は仏教教団の教育機関である各種の学林の整備が進み、これらの学校が徴兵猶予の特典を獲得し、専門学校令による認可を受けて再生された。そのため、それまで哲学館へと進学してきた者が、宗門大学へ進学した方が将来有利であると考えるようになった。第三は哲学館事件による中等教員の無試験検定の認可取り消しである。徴兵猶予の特典第四章 東洋大学へ107
元のページ ../index.html#109