井上円了100の金言
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天の道は公平で私心がない。これに反して、人間は不公平で私心がある。したがって、人間が自分勝手に願った祈りであったとしても、天は、公平無私の立場を変えることは決してない。※四書五経の一つ『礼記』に、「天は不公平なことをせずに地上のすべてを覆っているではないか。地も不公平なことをせずに地上のすべてを載せているではないか。太陽と月は不公平なことをせずに地上のすべてに光を降り注ぐではないか。この三つのことを大切にして、天下の人々をいたわる、これを『三無私』というのだ」とある。人間のごとく偏へん頗ぱの私心あるものではありませぬから人の方で自分勝手に願った祈りだとて天はそれがために規則をまげるようなことは決していたしませぬ。現代語で言うと【「おばけの正体」・第一三〇項】 75

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