来を見据えたか、また、どんな世の中にしたかったのか、一〇〇の言葉の切れはしから伺うことができるのではなかろうか。「お化け博士」と呼ばれて庶民に親しまれた円了は、教育者、哲学者、心理学者、経営者、そして、科学者でもあり、金言からも、多彩な顔とやさしさが浮かび上がってくるであろう。しかし円了という人間は、○○者になることよりも、自分が信じたことを世の中にどのように伝えていくかを、第一に考えていたことが、金言から伝わってくる。円了の言葉は単刀直入で力強さと美しさを持つ反面、漢語調で造語が多く理解が困難であるといわれている。そこで、原文とその現代語訳、それに、捕捉説明をそれぞれに載せた。特に、現代語訳では、原意を留める範囲で、大胆に意訳を試みた。また、本書の執筆にあたり、東洋大学井上円了哲学センターの竹村牧男氏、三浦節夫氏 多くの方々が本書を手に取り、井上円了の金言を、生活の中で、また、仕事や経営や教育・研究の場において、思い出して活用して頂ければ幸いである。井関大介氏、長谷川琢哉氏にご協力いただいた。東洋大学井上円了哲学センター副センター長 吉田 善一
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