二〇二二年度「井上円了が志したものとは」入賞作品集
72/76

高大連携校の部(麴町学園女子高等学校)講評校長 堀口 千秋本校における東洋大学グローバルコースの三年間は単に学力を高めて進学することが目的ではなく、教育連携の下に七年一貫の教育で自分自身の内面を見つめ、更に社会に貢献できる有意な存在を目指すことが重要と考えています。大学受験という大きな壁に囚われることなく充実した環境の中で、東洋大学の先生方にご指導いただく機会もいただきました。本校で実施している「みらい科」という探究活動などは井上円了先生の教育理念である価値観や人生観の育成に繋がる第一歩だと思っています。今年度も「井上円了が志したものとは」作品コンクールに応募させていただき、白倉末梨さんが学長賞をいただきました。末梨さんは円了先生の生涯と残された言葉を辿りながら、目指していたものや先生の心の中まで知りたいと語っています。まず、円了先生が幼少期に影響を受けた石黒忠悳との出会いがその後の好奇心や価値観に多大なる影響を及ぼし、末梨さん自身にもそのような運命的な出会いがあったと振り返っている。また、長岡学校時代には士族と平民などの身分社会を解消し、万民は同等という考えから「和同会」を設立したことを取り上げている。強い意志と行動力をもってすれば何事もかなえられないことはないという逞しさを学んでいる。そして最後に円了先生が三回にわたる世界旅行で西洋の文化や知識を取り入れ、日本の教育に活かしたいと考えたこと、書物では得られない多くの人々との交流や経験が後の哲学館への構想に繋がっていることに感銘を受けており、生涯様々なことに挑戦し続けた円了先生から「自分の運命は自分で拓け」と叱咤されているように感じたそうである。まさに、円了先生との出会いが末梨さんの人生を大きく動かしたようです。─ 70 ─

元のページ  ../index.html#72

このブックを見る