優秀賞木曽寛汰主体性私が通う東洋大学京北高等学校。その創設者である井上円了の思想や行動を「チャレンジャー井上円了 自分の運命は自分で拓け」を読んで知ることができ、私の心は大きく動かされた。円了先生が志したものは大学創設であり、その大学で学生に伝えたいことがあったのだと思う。それが何か、考えてみた。まず一つ目に「みんな仲良く等しくつきあおう」ということ。円了先生は長岡学校で授業生をしていた時に、「和同会」という会を開いた。「和同」という言葉は普通、「和して同ぜず」(徳のある人は他人と調和するがむやみに同調はしない)という意味で使われることが多い。しかし円了先生は「和してかつ同ずる」(みんな仲良く等しくつきあおう)を意味とした。身分意識の強かった明治初期にその意識を解消して親しく仲良くしようということから命名した円了先生だが、今の時代を生きる私にも通じるところがあると思う。円了先生のようなリーダー的な存在の人がこのような考え方をすることで、そのグループの雰囲気は良くなるだろう。私も部活動などでチームの中心となることが多かったが、チームメイトと等しい立場で話し合わなければチームはまとまらない。円了先生のこの考え方を知り、改めてそのことを実感することができた。二つ目は「偏見をもたない」ということ。円了先生は哲学館時代に学生に偏見を持たないようにと指導していた。授業の中で仏教家を例に取り上げて、「すべてのことは仏教で解決できる」という独断的な風潮があることを指摘し、このように他の説はことごとく顧東洋大学京北高等学校一年十組─ 61 ─
元のページ ../index.html#63