意見も尊重できるようになりたい。円了が「妖怪博士」と呼ばれていたように世間で解明されていない不可思議な事象を謎のまま終わらせるのではなく、論理的に、多面的に考える事が出来たのも、彼が学問を通して得た力だと思う。近年、情報社会が進んでいる私たちにも同じ力が求められるのではないか。円了の生涯を知り、人生で何か一つでも他人に誇る事が出来るほど打ち込んだものがあるのは素晴らしい事だと思った。私は水泳を十年以上続けている。私は続けられる、努力できることが私の長所だと思っている。彼の学校設立までの困難な道のりや、「風災、火災、人災の三災」と本人が称したようなピンチに出会ってもそれを切り抜け、進むことができたのは、まぎれもなく努力・継続の賜物だろう。彼の人生を知る事は努力・継続が大きな力になる事を改めて教えてくれた。私も努力を続け自分を高められるようにしたい。一つ疑問に思うのは、円了は自分の身体の状態を把握していたはずなのに旅を続けたのはなぜだろうという事だ。急性脳溢血になる事を予知できるわけではないが、神経衰弱症と診断された時点でもう少し休養を取っていればなにか変わったかもしれない。自身の健康あってこその活動とは考えなかったのか。彼がどのような思いで命が尽きるまで巡講を続けたのか知りたい。そして、まだ交通網が整備されてなく危険が伴う世界旅行に何度も行くのは恐ろしくなかったのか。今の私では理解できない事もあるが、自分なりに考えてみたいと思った。今まで哲学は難しく堅苦しい印象があったので哲学に全く触れてこなかった。しかし、夏季課題をきっかけに円了について、その思想について知る事が出来、初めて哲学的な考え方に接して、自分の視野を広げる事が出来た。これから多くの事を積極的に学んでいき、その過程で自分なりの考え方を確立していくと共に他者からも学び成長していけるようにしたい。─ 50 ─
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