二〇二二年度「井上円了が志したものとは」入賞作品集
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1Day てでした。普段の授業では、先生が重要ポイントや文章を読み解くコツなど,私にとって有用なことを教えてくださいます。私は先生が話されたことを一つでも多く理解しようといつも心がけています。一方、りたいと思っていた内容に関連した話でしたので、普段の授業と比べ、より集中して吸収できていたと、振り返って思います。この経験から、積極的に知りたいと興味を持って、話を聴く方がより物事の本質を見出せるのではないかと感じました。「知りたい」という気持ちは学問だけにとどまらず、人間関係についても同じことが言えると考えます。自分と考え方や価値観、好きなものが異なる他者を知りたいと思わなければ、「自分と住んでいる世界が違う他者」と認識するだけで終わってしまいます。私は性同一性障害の人、身体的・精神的障害を持つ人と関わりを持ったことがありません。そのため、その人たちの特性や考えていることを多くは知りません。テレビの報道番組で性同一性障害や身体的・精神的障害などの特集を少し見たぐらいで、まったくと言っていいほど知識がなかったので、日頃から彼らのことについて考えることはありませんでした。特集を見ていた時にUnversityの講義内容は興味があり、自分が知他者に理解してもらいにくいことなど、彼らが抱えている悩みが紹介されていました。その時、ふと「いじめ」、「嫌がらせ」という言葉が浮かんできました。私は今まで、実際に彼らに対するいじめや嫌がらせを見たことはありませんが、いじめや嫌がらせというのは、いじめている側の人が普通の人とは異なる特性を持った人のことを知ろうとせず、決めつけでその人の人物像をつくってしまい、そして、いじめている側の人にとって彼らが認めることができない存在になってしまうことが原因で、起こってしまうのではないかと考えました。もし私が性的マイノリティや身体的または精神的ハンディキャップを背負っている人を見かけたり、実際に声をかけられたりしたら、正直にまだ動揺してしまうと思います。しかし、私たちが生活している社会には多種多様な価値観を持っている人々がいます。この社会で暮らしている彼らに歩み寄り、また彼らのことについて学び、理解するように努めていくことで、持続可能な開発目標の一〇番に該当する、「人や国の不平等をなくそう」の『二〇三〇年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促i─ 40 ─

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