優秀賞豊廣拓人情報社会に自分の人生を歩む術「迷雲を払って真月を見よ、妄眼をぬぐって真怪に接せよ」これは、円了先生が最期に残した言葉である。この言葉は自分なりの解釈があると同時に、今後の自分に言い聞かせたい言葉の一つでもある。私は今、東洋大学で、五回生の夏を過ごしている。四回生のタイミングで一年間の休学期間を設け、復学した。休学の理由は、進路再考である。私は大学一回生の頃から企業インターンに参加するなど、早々に就活を見据え活動をしていたつもりであった。しかし、就活が本格化する三回生の後期まで、行きたい企業を絞れずにいた。候補として並べた会社に就職するイメージが持てなかっただけでなく、就職活動そのものに対してもどこか違和感があった。「今までの人生経験の中で、就職先を考えろというのはあまりにも酷だ。もっと将来を考え、逆算する形で会社を決めたい。」そんな思いから、私は大学四回生に進学する直前、休学手続きをした。それからまもなく、自転車での日本一周の旅を開始した。なぜ旅にでたのか。目的に対し最適解であったかどうかは不明だが、納得のいく就職先に内定した今、この思い切った行動をとった自分には心から感謝している。また、円了先生の言葉「迷雲を払って真月を見よ、妄眼をぬぐって真怪に接せよ」をこの先の人生を通して実践していく上での入口になる、いわば一歩目のような出来事であったと考える。私はこの言葉をこう解釈した。「他人の情報に振り回されず、自分の情報を得よ。解釈に囚われず、事実を見よ。」円了先生は生涯で、妖怪学をはじめ、自分食環境科学部四年─ 17 ─
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