CATALOG 井上円了
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24め、ふたがコックリコックリと傾く様子から名づけたとされるが、天理を告げる「告こく理り」説もあり、「狐こっ狗く狸り」と当て字された。『妖怪玄談』の表紙には、コックリさんに興じる男女の姿が描かれる。円了は、参加者に女性や信仰心が厚く信じやすい者、知力に乏しい者が加わるとコックリさんが移りやすく、知力に長じ信仰心の弱い者が加わると、よい結果を得られないことも指摘している。英語名を正確に聞き取れていたら「コックリさん」にならなかったことは間違いない。聞き取れなかったからこそ、なんとも不可思議な名前になったのである。(北河 直子)014こっくり様の木静岡県伊豆で採集した「コックリさん」の脚部分。コックリさんは神意判断の占い法で、明治19年(1886)ごろから日本各地で大流行した。明治20年刊行の『妖怪玄談』で、明治17年ごろ、静岡県伊豆下田(現静岡県下田市)に流れ着いたアメリカの帆走船の乗組員がもたらした「テーブル·ターニング」が日本で「コックリさん」として広まったことを井上円了がつきとめている。テーブル·ターニングは、テーブルの周囲に数人が集まり、手をテーブルの上に載せると、テーブルが回転し始め、人々の質問に応じて動く占いの一種。日本では、回転するテーブルのかわりに、3本の竹脚と飯めし櫃びつのふたで代用にした。「コックリさん」の名称は、英語が聞き取れなかったた⦿竹、麻紐  ⦿山﨑記念中野区立歴史民俗資料館蔵参考:『妖怪玄談』(初版本、井上円了著、哲学書院発行、明治20年、東洋大学井上円了記念博物館蔵)

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