東洋大学史ブックレット15
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「知徳兼全」は、知性だけでなく人間として大切な徳性をも身につけることを重視するものですが、これを今日の言葉で言えば、学力と人間力の双方を十全に具えてはじめて国際的な学士の学位に相当すると言われていることに呼応するものと見ることができます。「独立自活」も、自学・自修の主体性の重視につながるものです。こうしてみると、円了先生の教育理念は、現代の高等教育の動向をつとに先取りしたものであったことが知られます。ところで、現代の若者に、「諸学の基礎は哲学にあり」の句の意味は、簡単に理解できるものでもありません。そこで私は、円了先生の思想を学生に分かりやすく受けとめてもらうために、平成二二年一月、東洋大学の建学の理念を下記のように整理して示しました。 3 一 建学の精神の今日的解釈

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