東洋大学史ブックレット15
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本質を深く捉えるために、 常識や流行、先入見や偏見にとらわれず、批判的に考察する訓練をおこなうところに、「哲学すること」の実践を見ることができます。それゆえ、このことを、ゼミ・演習のみならず講義科目も含めて、あらゆる科目において、対話型や双方向型の授業運営を通じて訓練していくことが、広い意味での哲学教育になります。この実践に、東洋大学の校風を示すべきです。もともと東洋大学は、一方的な知識の注入主義の教育でなく、教員と学生とが自由に討議しあう中で真理の発見に至ろうとする自由開発主義の教育を実践していたのであり(『井上円了の教育理念』一六四~一六五頁等)、この伝統を継承し、さらに発展させて未来に伝えていくべきなのです。ちなみに、近年、創立者・井上円了先生の人と思想・建学の理念、その時代やその後の本学の歴史などについて詳しく教える「自校教育」も推進しています。「自校教育」には、帰属意識を高め、誇りを持ってもらうねらいがあります。教材として、   三 哲学教育の現状11

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