学の存続・発展にとっては、量的拡大以上に質的な充実の視点も求められることは必定でしょう。しかし、多くの学生数の受け入れは、学生納付金にその財政的基盤の八割近くを依存する私立大学にとっては不可避なことも事実です。大学運営において、大量の学生を受け入れることによる安定的な財務的基盤の確立と「大学のありよう」としての質的確保という二律背反的な要因をいかに調和させるかということは、大学経営の責任を負う法人側にとっても、教育、研究の責任を負う教学側にとってもこの先極めて重たい課題となるでしょう。東洋大学の叡智を結集し、これまでの順調な発展により培ってきた有形・無形の財産を賢明に活用することにより、この問題が適切に解決されることを期待したいと思います。東洋大学の歴史 ―戦後編Ⅱ― 64
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