整備されるべきである。」と述べています。大学での法学教育の充実強化を図るという意味と、法科大学院当初の合格率は最大で八〇%程度と見込まれるということもあって、平成一六年四月には全国で七四校もの法科大学院が設置されました。設置直後の修了生からは多くの合格者が出たものの、そのためにかえって合格者の就業機会が必ずしも十分に確保されなかった等の弊害も生じ始めました。当初想定された合格率もその後大幅に低下し、近年の実際の合格率は二〇%程度に低迷しています。合格率の低下に加えて、高価な授業料と多くの時間の負担をする大学院を経由して受験資格を獲得するよりも、例外的な措置としての予備試験に合格して受験資格を得る方が得策であるという考え方も世間には広まりました。このような状況や、大学院修了者の試験合格後の進路の不安定性などの理由で法科大学院の人気と魅力は設置当初に比して著しく減退しています。事実すでに二〇校もの法科大学院が募集の停止をしています。東洋大学の歴史 ―戦後編Ⅱ― 24
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