東洋大学史ブックレット12
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きつな   【  哲学館事件た。を発表しましたが、この年一二月にいわゆる哲学館事件がおこりました。この哲学館事件は、わが国が対外戦争をおこした二七年の日清戦争と三七年の日露戦争との間におこっており、当時の国内外の情勢につよく影響をうけています。その直接のきっかけは、三二年七月に哲学館が文部省から中等教員無試験検定取扱の特典を認められ、その条件として哲学館の卒業試験に文部省の視学官がたちあったことにあります。実施が延期されていた教育部第一科(教育倫理科)の卒業試験は、一〇月二五日から三一日まで予定され、その初日におこなわれた倫理学担当中なか島じま徳とく蔵ぞう講師の試験問題「動機善にして悪なる行為ありや」という設問に、一学生〔加藤三雄〕が「否いならずんば自由の為に弑し虐をなす者も責せ罰ばせらるべく」と答えたことが、視学官隈本有尚の目いぎやく】明治三五(一九〇二)年四月に館主円了は、「哲学館大学部開設予告」東洋大学の歴史 ―戦前編―14

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