おわりにでは戦死した長男の嫁）という設定が笠の実年齢とも近く、無理のない演技と原の好演で輝きました。特に『東京物語』での笠は絶品です。夜明け方に息を引き取った妻を東京から駆けつけた長男・長女たちが囲む中、そっと外に出た笠を原が呼びにいく場面。尾道の浄土寺境内です。寂しさを全身ににじませるあの演技はどこから出たのでしょうか。そして一言「きょうも暑うなるぞ」。笠の演技は、演技ではない不器用さを演技にしたところにあります。一つの家庭が一三〇年近い年月を経ると、第四世代から第五世代の時代になりま おわりに 31
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