佐さう藤義よ亮す(一八七八~一九五一) 新潮社創立者・初代社長 と けし うです。柳田はこれを記録して世に出しましたが、佐佐木の話は訛りが強くて聞き取るのに苦労したと述べています。つまり、佐佐木の語りが『遠野物語』であり、この人がいなければ『遠野物語』は存在しなかったか、あるいは違った内容になっていたことになります。しかし、佐佐木家は裕福な農家で、幼少期から祖父の語る遠野の伝承話を聞いていたために、その語りは豊富なものだったのでしょう。佐佐木が哲学館に入学したのも、井上円了の妖怪研究に傾倒したためといわれています。佐佐木自身にも、昔話を集めた『紫波郡昔話』、『東奥異聞』など数冊の書があり、座敷ワラシやオシラ神の研究もあります。秋田県出身。父は荒物屋を営む商人でした。読書を好み篤く仏教を信仰していたといわれます。小学校に入学した義亮は成績優秀、時には飛び級で進級しました。高等人物で見る東洋大学20
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