東洋大学史ブックレット11
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かぐ坂さち口 安あ吾ご(一九〇六~一九五五) 小説家『仏教史林』(明治二七(一八九四)年)を刊行し、仏教史研究の近代化を図りました。これは当時の仏教研究が主に宗学(宗派の学問)を中心としたもので、仏教全体の発展を対象とした研究ではなく、仏教の発展・展開を歴史的に見る必要を論じたものです。その成果として『支那仏教精史』『支那仏教史講話』などの専著が刊行されます。この当時、中国仏教の研究はあまり進んでおらず、ことに中国仏教史の分野はほとんど空白状態でした。境野の著書はその空白を埋める役割をはたしました。こうした研究は、村上専精の日本の仏教史研究とともに、仏教研究における近代化を示すものでした。大正七(一九一八)年、境野は哲学館出身者として初めて東洋大学学長に就任しましん た。人物で見る東洋大学16

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