小おの野十と三郎(一九〇三~一九九六) 詩人・帝塚山学院大学教授おざぶろう 7 ジー・キャッツの名が知られるようになります。この人気を決定的にしたのは、昭和三六(一九六一)年から日本テレビ日曜の夕食時に放映された歌謡番組「シャボン玉ホリデー」です。ここでのコントやギャグがまたたく間に全国的に広まり、一世を風靡します。時はまさに高度経済成長期の入口。オリンピックの東京大会に向けて、首都東京は、近代都市へ面目を一新しようとしていた時代です。こうした世上の好景気ブームによって、調子のよいメロディーに乗った植木の唄うコメディーソングは大流行し、社会現象にもなりました。もっとも植木はかなり真面目な性格で、歌詞の文句に悩むこともあったといいます。晩年は一転して、シリアスな役をこなす性格俳優として活躍しました。大阪府出身。本名は藤と三郎。天王寺中学校卒業後、上京して東洋大学専門学部文化おざぶろう
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