装飾的なデザインは見出せません。一方、建物本体は、所謂均等ラーメン構造と呼ばれる柱梁構造の開口部にサッシュを組み込んだ極めて単純な構成です。正面玄関では尖頭アーチが、屋上ではそびえ立つ塔が垂直性を強調しているのに対して、建物本体は、最上階に付けられたやや深い軒と、それに呼応する各階の水平リ的には残念な結果をもたらす場合が多いとの印象ですが、この建物も、その点では例外ではありませんでした。しかし、同時に、特別な役割を担うべき建物として、即ち、大学を象徴する広場に正面を向ける建物として構想されています。まず、四聖像のレリーフが取付けられた正面入口には、二つの尖頭アーチが配置され、様式建築の玄関を彷彿とさせる構成になっていますが、建築的には、この尖頭アーチと屋上に設けられた塔以外に 建築史から見た東洋大学の変遷写真⑬28
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