ここから下界を見下ろすような形で、丘の下には低地部分が広がっており、この低地部分は右翼側が唯物園、左翼側が唯心庭の二つに分かれた構成になっています。おおよそのところ、このような三つのゾーンに分かれた構成になっていると理解しながら園内を巡ると、哲学堂全体のイメージがつかみやすくなります。なお、この唯物園と唯心庭ですが、往時は、哲学の分野における学術的な論争の一つとして、唯物論と唯心論の二項対立的な命題があったようです。これに対して円了博士は、両者の発展的な融合理論としての「唯理論」を提唱していました。このような時代背景を透かしながら哲学堂を散策し、丘の上の四聖堂や六賢台からは、対立的な関係にあったとされる唯心論(唯心庭)と唯物論(唯物園)のありさまを客観的に見下ろしながら思索を巡らしてみるのも一考かと思われます。哲学のテーマパークとしての哲学堂公園 38
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