東洋大学史ブックレット9
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る円了博士の態度やまなざしが感じられるところです。妖怪の研究や講演を行った真意は、誤った価値観や通念にとらわれない考え方や生き方を身に付けることが重要であるというものでした。「妖怪の原理を究めることによって迷信をなくし、すべての人が貴賤上下の別なく、ともに同じように文明の恵沢を受けられるようにしなければならない」という言葉からもうかがえるように、人々が迷信に惑わされずに批判的な思考ができるようにするために迷信の研究を行っていたのです。円了博士は、本当の意味での教育を受けた人は、一時的な快楽に過ぎない肉体的快楽だけでなく、永遠に続く快楽である精神・知識・思想上の快楽を知ることができるようになると考えていたのです。(4)遊び心に富んだ柔軟な発想人に何かを教える時には、その教えるべきことが相手にとってどんなにためになる 二 哲学堂公園が目指したもの  27

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