東洋大学史ブックレット9
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れば、実践的な体験学習による教育を重視していたとも考えられます。円了博士は、世の中には死教育と活教育の二種類があるという教育観を持っていました。死教育とは、教科書などによって知識や理屈ばかりを教えて、これを活用することを教えないという教育です。また、活教育とは、モノづくりのような実践的な体験学習を主体とした教育です。円了博士は、「空論を止めて、事実をもってせよ」という言葉に象徴されるように、ただ単に机上の論理を振りかざすことの愚を指摘していました。また、古人の格言を教える時も、今日の事情に適さないものをそのまま教えるのではなく、遠慮なく改作して教えることこそが格言を作った個人の本意でもあるといった柔軟な考え方をしていました。こういった柔軟な発想が根底にあった円了博士であったからこそ、哲学の世界を可視化したテーマパークとしての哲学堂を整備できたのではないでしょうか。前述したように、哲学を広めるために哲学館を創設し、全国各地における巡回講演 二 哲学堂公園が目指したもの  25

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