東洋大学史ブックレット9
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いうことを悟ったことがよく理解できるのではないでしょうか。円了博士は、このような「哲学」を勉強することによって、批判的な思考が可能になることから、誤った価値観や通念にとらわれない考え方や生き方を身につけることができると考えていました。数学なども加減乗除から代数、幾何にいたるまで色々なことを学びますが、円了博士は、この数学についてさえも、日常生活において代数や幾何学を使うことが必要であるからだけではなく、思想練磨のために必要だから学ぶのであると考えていました。円了博士の晩年の著書になる「奮闘哲学」においては、人間形成・社会形成のための基礎となる哲学という学問の意義を讃えた「哲学和讃」が掲載されています。哲学堂の設置のねらいを理解して頂くためには、円了博士の求めた哲学とはどのような意義の学問であったかを理解することが必要になりますので、少し紹介してみます(括 二 哲学堂公園が目指したもの9)  19

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