東洋大学史ブックレット8
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明治新政府は、富国強兵・殖産興業という二つのスローガンを提唱します。江戸時代の鎖国体制から開国したわが国を欧米列強に対抗できる国にするため、地租改正や秩禄処分で税制改革を行い、同時に国内産業を育成して積極的に産業を興し、急激な資本主義化に邁進したのです。そして、経済基盤を整備しながら徴兵制や軍制改革をすすめ、植民地化されてゆくアジア諸国を垣間見ながら、欧米に対抗すべく軍事力を一挙に高める政策を遂行しようとしたわけです。まずこの展開を年代区分順に見ると、明治初期は主にヨーロッパの文化を受容し、模倣する文明開化と欧化主義の時代です。しかし、それは同時に自国の体制を早急に確立してゆくことでもありました。それが、次に述べる幾つかの政策に見られます。……産業社会の急速な発展、独占資本主義の時代井上円了の世界旅行  4

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