東洋大学史ブックレット8
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旅の中で、この文部省の措置に、官僚主義への批判と大いなる失望の念を吐露しています。記』にも記されています。円了は慧海とムンバイで別れ、地中海からヨーロッパに渡り、ロンドンに至りました。ロンドンでは、学校、工場、博物館、図書館、孤児院、止宿所、孤児院など多くの社会施設を見学しています。とくに、託児所や「貧民に飲食を施す」慈善組織に関心を持ち、実際に食事を経験したようすが記録されています。また、ロンドンでは、哲学館教員取り消しの報告を受けるのですが、これは「哲学館事件」としてわが国の教育界にとっても哲学館にとっても大事件でした。円了は河口慧海著『西蔵旅行記』(堺市博物館蔵)井上円了の世界旅行  32

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