帰国後に発表された成果と指針円了は帰国直後の明治二二年七月に「哲学館改良の目的に関しての意見」、さらに同年八月に「哲学館将来の目的」というように、現況の日本の批判に基づきながら、哲学館の将来像を発表しました。その主な内容は、次のようなものです。欧米各国では、その国で発達した固有の学問・芸術(言語学・文章学・歴史学・宗教学が不可欠である。西洋諸国ではその国固有の学問・芸術を研究するほかに、東洋学の研究も盛んに行われている。ドイツやフランスの東洋学校には「日本学」の学科さえある。しかし日本ではその分野の学問が確立していないことから、早急に東洋学研究をすすめる必要性がある。欧米各国の指導者の教育法は、日本のように学力のみに重点が置かれているも 三 二 一 等)が盛んに講義研究されている。一国の独立にはその国に固有の学問の発達井上円了の世界旅行24
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