込んだときの村の驚きがここには表されています。それでもビールは鯖江の町にはもうあって、探せば買うことができました。新しい文化生活が江戸時代からの伝統的な生活のなかにいた村にも次第に入り始めていたのです。多くの地方の人びとが円了を歓迎して、その話を聞こうとしたのは、工業化とともに進んでくる新しい文化を吸収したいという思いからだったのでしょう。円了はこれに応えながら、人びとを近代的な社会の担い手へと導こうとしたといえるでしょう。井上円了の全国巡講32
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